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2008年6月29日 (日)

米・インディアナ大学から保津川に調査に来られました

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Jacqueline Bauer 米インディアナ大学インディアナ大学・政治理論と政策分析ワークショップ副代表が亀岡における里山の調査に来られました。

今回のフィールド調査では、まず亀岡市篠町自治会に よる里山再生事業である「長尾山市民参画の森」の見学を実施されました。この里山再生事業は、もともとは薪炭材の供給源として住民の共有財産であった入会 (いりあい)山であった長尾山が、その後の市町村合併や亀岡市による開発計画などの紆余曲折を経て、ふたたび地域の住民による再生事業がスタートしまし た。

井内邦典・篠町自治会長はじめ長尾山再生に取り組まれているメンバーへの聞き取り調査では、わが国独特の地方自治制度である自治会の組織や、里山再 生事業の経緯など、多岐に渡るインタビューが行なわれました。篠町自治会の取り組みは、WHO(世界保健機関)による国内初のセーフコミュニティの認証な ど、広く注目されています。今回の調査でも、まちづくりをどのようにして進めていくか、環境や人的資源をうまく活用する戦略的な計画について特に大きな関 心が寄せられました。日本に限らず多くの世界各地の地域では、伝統的な村落社会社会に都市開発により新住民が多く流入してきたときに、かつての村社会の ルールが崩壊し、自治的な地域社会そのものが崩壊してしまうケースが多く見られます。そのような中で、古くからの住民と新興住宅地の住民が、お互いの得意 分野を認め合いながら、里山再生はじめ、さまざまなまちづくり事業を進める篠町の取り組みは、特に印象に残ったそうです。

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聞き取り調査のあとは、実際に長尾山に足を運び、里山再生事業の現場を見学しました。広大な面積を有する里山である長尾山は、しかし長年放置され、 残念ながら森林の状態は良好とはいえない現状です。しかし、定年退職した住民を中心に整備事業が順次進められ、徐々にではありますが、「里山」としての本 来の姿を取り戻しつつあります。

ところで「里山」という言葉は、英語ではどのように表現するかご存知ですか?実は、里山はsatoyamaなんです。 つまり、国際標準語として認識されています。「おじいさんは山へしば刈りに・・・」で同じみなように、日本では古来より山林から薪炭材や腐葉土を得ていま した。つまり、人の手が適度に入ることで、日本独特の里山という景観、そして生態系が形成されてきました。「利用しながら保全する」「誰のものでもない、 みんなのもの」、我々日本人にはごく当たり前のこととして受け継がれてきましたが、実は世界的には極めて特殊な自然の利用方法であり、世界各地で深刻化し ている環境問題に対する有効な管理手段として、今、海外からも大きく注目されています。

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長尾山の見学のあとは、保津川下りを体験していただき、その後、保津川下りのベテラン船頭である植村耕太郎さん(72)のお話を伺いました。

かつては、舟も船頭さんの道具もすべて地域の産物を利用して作られ、川もまたさまざまな恵みを人々にもたらしてきました。 そこにはやはり「共同」での川の利用があり、そうすることで川やそれを取り巻く山々の自然、そして人々の暮らしが形作られてきました。たとえば、丹波地方 では松茸の全山入札制度と呼ばれる独特の習慣があります。これは、秋の松茸の収穫期になると、共有山や地域によっては個人の山も、松茸の採取権を地域住民 の間で競売にかけ、その収益金を地域のために使う、というものです。今回の聞き取り調査の中で、松茸だけではなく、川や用水路の魚は地域の人々の共有財産 として位置づけ、松茸同様にその漁業権を競売にかけ、収益金を地域のために使う、という習慣がかつては存在していたことを教えていただきました。

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最近では発展途上国を中心に、社会的起業、たとえばマイクロ・クレジットと呼ばれるような地域での資金供給システムが貧困問題の解決のために大きく 注目されています。このようなシステムは、やはりかつての日本の社会には広く存在していました(たとえば「頼母子講」のような講中組織など)。ここ丹波で も、頼母子講などさまざまな相互扶助システム、あるいは松茸や川の魚などの採取権を地域の住民の間で競売にかけ、その収益金で地域の道路や橋、学校建設な ど社会基盤整を実現するような、共助のシステムが大きな役割を果たしてきました。経済成長と都市化、そして中央集権化の過程で、これらの地域独自の相互扶 助システムは、「古いもの」として忘れられてきましたが、格差社会や地方分権が叫ばれる今こそ、先人たちの知恵をあらためて学ぶ必要があるのではないで しょうか。

私たちは当たり前、と思っていることも、他の社会の人々から見ると大変興味深いものとして目に映ることも少なくありません。プロジェクト保津川の顧 問をしていただいている、上田正昭先生は、「比較」の視点に立った郷土愛の重要性をお話されています。私たちも、ゴミ問題などの保津川の環境保全という目 の前の問題だけではなく、それを永続的に実現する社会のあり方についても、改めて考えてみたい、と思いました。

プロジェクト保津川 原田

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