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2009年1月21日 (水)

木造船での曳き舟、60年ぶりに保津川に甦る!(1)

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船を下流から上流に人力で引き上げる「曳船」(ひきぶね)が、先日復元された木造船を使って約60年ぶりに行われました。

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朝早い亀岡の乗船場に、霧の向こうから今日の主役、40年ぶりに新造された木造船が姿を現わしました。60年ぶりの曳き綱というだけではなく、昭和50年ごろにすべて引退して以来、30数年ぶりに木造船が保津峡を下ります。やっぱり舟は水の上にあってこそのもの、舟が活き活きとして見えるのは気のせいでしょうか。

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出発前の打ち合わせで、曳き舟の経験者、上田潔さん(88)が、曳き上げの際に使う「肩綱」と呼ばれる、ベルトのように編んだ綱の使い方を保津川下りの現役船頭さんたちに説明されていました。今日参加された最年少の船頭さんは20歳。70歳近く歳の離れた大先輩のお話にみんな真剣な顔で耳を傾けておられました。

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出発前の最後の調整に余念がない木造船を横目に、私たち撮影班は2艘の舟に分乗して一足早く出発し、保津峡の中で木造船の到着を待ちます。

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待つことしばし、木造船が白い波を上げてやってきました。どうです?かっこいいでしょう!私には、舟が喜んでいるように見えました。そしてもう一つ驚いたことが、櫂(かい)を挽く「ぎぃ~っ、ぎぃ~っ」という音がFRP船よりもずっと大きく響くことでした。

2人の船頭さんが息もぴったりにリズム良く櫂を挽く音は、木でできた船体が共鳴するのか、これまでに聞いてきた音とはまったく違う本当にいい音でした。これには一同ビックリ!今日のFRP船を担当されていた船頭さんも「あの音を聞いたら、こっちはあかんなぁ~」とおっしゃっていました。

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さて、今回の曳舟は、その技術を再現して、映像に記録することが目的です。最初の曳舟は「烏帽子岩」と呼ばれる大岩で、これもまた新たに復元された「綱はじき」という竹棹を使って進んでいくシーンが撮影されました。岩の上にある青い竹がその「綱はじき」。舟を曳く麻縄が絡まないように、曳舟が行われていたころの保津峡には何箇所もあったそうです。

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綱はじきを使って、上手に岩をかわして舟がゆっくりと進んでいきます。このとき、綱を引っ張る船頭さんとタイミングを合わせて、船長の竿も使って「ぴょん」と綱をはずませて岩を越えさせます。これがまた見ていて楽しいのです。

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白い波に、真新しい木の舟。60年ぶりに保津川に甦った曳舟の風景です。谷間に響く川の音と船頭さんの声。まるでタイムマシンから昔を覗いている、そんな気がしてきました。

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舟を引っ張る船頭さんは全部で3人。前から順に「先綱」「中綱」「後綱」と言います。そして一番経験豊かな人が「船長」として舟に残り、暴れる舟を竿一本で操るのです。4人の息がピッタリと合わないと、大事故につながりかねない、そんな危険な作業です。力いっぱい急流に棹をさし、舟を押さえつける後ろ姿、見ている方も力が入ってしまいます。

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大正初期と、平成21年。小鮎の滝を、30数年ぶりに甦った木造船が下って行きます。

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その後も、何箇所かで「曳き綱」や、「渡り」と呼ばれる川の横断などが撮影されました。先日の試し曳きのときと違って、今日は前日まで雨が降っていたこともあり60cmほど川の水位が上がっていました。見ている方は迫力満点なのですが、作業にあたられた船頭さんは大変な作業だったのです。

普段のFRP船とも微妙に船のクセが違うそうで、なかなか向きが変わらない(といっても0.5秒ほどの差らしいですが)、そのクセ曲がり始めると今度は車でいうとドリフトするような感じで曲がっていくのだそうです。

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綱道を走る船頭さん。上田さんに伺うと、特に「先綱」はほとんど走りっぱなしだったそうです。まだ新人だった上田さんは、「下るときはずっと櫂挽き、上るときは走りっぱなしやったなあ」とおっしゃっていました。

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映像を記録するカメラマンも、川の中に立っての撮影。冷たい雨の降る中、プロとプロが向き合う、そんな「曳舟」となりました。

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途中、曲りヶ渕で焚き火を囲んで昼食。筏でもお世話になった酒井さんや上田さん、船大工の青山さんといった方々と、孫ほどに歳の離れた私たち。いろいろなことを教えていただきました。

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保津峡の中だけは道がなかったこともあり、昭和45年ごろまでは細々とは言え筏流しも行われていたそうです。遊船の仕事が少なくなる冬の間の仕事として、船頭さんたちは山仕事をされていたそうです。写真の後ろの山の杉の森、この木々もまた、酒井さんや上田さんたちが昭和30年代に木を切り出して筏で京都まで流し、そしてまた植林をされた森だそうです。そんなことは今日お話を伺うまで全く知りませんでしたが、当時のお話をうかがっていると、「単なる山」という見方ではなくなりました。

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今日の行程はJR保津峡駅下の鵜飼浜まで。仕事を終えた皆さんの笑顔が素敵です。この続きはまた明日、こうご期待!

(H)

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コメント

コンバンワ!
ゴシゴシ(-_\)(/_-)三( ゜Д゜) ス、スゲー! 格好いいですね!
木造船が川に映えて素晴らしい光景です!
船頭さんもお疲れさまでした!後世により良き技術が伝わりますように!
お天気がイマイチですが、ご安全に!

投稿: naru@( ^ω^ ) | 2009年1月21日 (水) 21時04分

>naruさん
ほんと、カッコよく、また素晴らしい光景でした。明日の朝日新聞と京都新聞に掲載されるということですので、ぜひご覧ください!

投稿: プロジェクト保津川 | 2009年1月21日 (水) 22時14分

他ブログでこのことを知りました
いつも疑問に思うのは下った舟を元に戻す事でした
当時は川沿いに道でも有ったのかと思っていましたが意外や今とあまり変わらない状態だった用ですね
山歩きをする私にとってこの川の遡上は経験してみたい所です
貴重な経験談を読まして頂き感謝します
又、木造船を川下りに復活さす事を希望します。

投稿: ショウタン | 2009年1月23日 (金) 10時22分

>ショウタンさん
プロジェクト保津川のブログをご覧いただきありがとうございます。

木造船、実は私もまだ乗ったことがなく(笑)、試乗会も兼ねたスペシャル・ツアーを行いたいなあ、と思ってます。そのときはぜひ!

投稿: プロジェクト保津川 | 2009年1月23日 (金) 13時17分

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