淀川最後のイタセンパラ~大阪水生生物センター
寝屋川市の、淀川のほとりにある大阪府水生生物センター、以前は淡水魚試験所という名前だったのですが、入口がちょっとわかりにくいのです。国道1号線のすぐそばにあるのですが、注意していないと通り過ぎてしまいます。そんな私も迷ってしまいました。「あ、ここが入口だったのね」と気付くまで、しばし周囲を徘徊(笑)
さて、玄関に入ると、いきない大水槽。淡水魚好きにはたまらない空間です。わが家にもこれくらいの水槽が欲しいなあ、と思いました。どこに置くんや!といわれそうですが(笑)
センター内には、淀川にすむさまざまな魚が展示されています。中にはこんな魚も。そうブラックバス(オオクチバス)です。特に1983年の淀川大堰の完成により、淀川にほとんど流れがなくなってしまったことで、止水域を好むバスやブルーギルが大繁殖してしまったそうです。そして、淀川の魚たちにとって繁殖の場であり、稚魚にとっては“ゆりかご”ともいうべきワンドも、大堰による水位操作の影響をもろに受けるなど、在来魚にとっては危機的な状況が生まれてしまったのです。
そんな淀川の危機的な状況で、なかでも心配されているのが、上の写真の、淀川だけにすむタナゴの仲間、イタセンパラ。実はこの3年ほど、野生のイタセンパラは生息が確認されていません。その原因はさまざまなことが考えられますが、やはり激増した外来魚の影響が一番大きいと考えられるとか。
この水生生物センターなど、いくつかの施設で飼育されているイタセンパラが、本当に最後のイタセンパラなのです。淀川水系の、もうひとつの希少種というと、亀岡の保津川水系に棲むアユモドキが代表的ですが、実はこの水生生物センターにも、数年前まではアユモドキもいたそうです。いた、というのは、寿命で死んでしまったのだとか。
アユモドキ、そしてイタセンパラ。どちらも人間による環境改変や外来生物の密放流によってその生息環境が脅かされ、今まさに絶滅の危機に瀕しています。
一度失ってしまった生きものは、二度と甦ることはありません。それを守るのも、また絶滅に追いやることも、私たち人間にはできます。私たちが生きるこの時代に、淀川の貴重な宝物が消えてしまった、そう言われないようにしたいものですね。
(H)
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