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2009年6月11日 (木)

筏用木材の準備 【伐採編】

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6月8日(月)に、筏用木材の準備に行ってきました。場所は、南丹市八木町の「筏森山」です。

この筏森山、先日の新聞記事でも紹介されていましたが、このあたりに伝わる伝説では、太古の昔、亀岡盆地がまだ湖だった頃に、神々が筏を止めておく島だったということにちなんで、こう呼ばれています。実際、尾根には多数の古墳群があるそうです。そんな伝説の山で、今年の筏の材木を切り出すことになり、そのための準備となる作業が行われました。

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今回は、伐採してすぐに運び出すのではなく、しばらく生きた枝を落とさずに置いておくことで、乾燥を早める「葉枯らし」という、昔の人の知恵も再現することに目的がありました。

午前中は打ち合わせのあと何本か伐採に取り掛かり、昼からは伐採と撮影を行う予定です。山主さん、南丹広域振興局の方、八木森林組合の方、新聞記者の方も交えて山主さんの自宅の土間での打ち合わせが行われました。

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打ち合わせの後、早速山に行こう、と言うことになりました。こちらの写真が筏森山の全景です。

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写真手前が家、ここで打ち合わせを行っていました。「裏山」とは聞いていたのですが、本当に家の裏の山です。庭を通って、そのまま裏山へ。『ほんとに?』と思うくらいすぐ裏です。上の写真は、筏森山のうち、今回の作業場所があるあたりを拡大したもので、本当に「裏山」です。

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山に入ると、すぐに急斜面です。

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とは言え、すぐに現場に到着します。

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今回、筏用に使う材木は、間伐する材木を使う、ということなのですが、よくTVなどで見るチェーンソーで切って、メキメキっと倒れていってドーン(笑)、といった感じではなく、切りながらワイヤーで引っ張ることで、倒す方向を安定させるそうです。また、他の木と枝が絡まって倒れきらないときも、ワイヤーを引っ張ったり緩めたりすることで、倒しきるようです。

作業はチェーンソーで木を切る人、滑車をつける人、ワイヤーで引っ張る人、の3人1組で行われます。

まず、切り倒す木と周りを見て、倒す方向を決めます。それが決まれば、切り倒す木にワイヤーをかけます。アッと言う間に木を登っていかれますが、高所恐怖症の私には出来ません(笑)

上から2段目まで登り、片足を木にかけて落ちないようにしての作業です。場合によっては、一番上まで登り、さらに「猿の腰掛」のような道具を木にかけて、下側のロープに足をかけ、さらにその上の台に乗って、といった作業も行なうことがあるそうです。

さて、木はワイヤーで引っ張って倒すわけですが、そのまま倒すと作業している人を直撃してしまいます。そこで、別の木に滑車を取り付け、その滑車の方向に倒れるようにします。そんなふうに準備をしてから道具を使ってワイヤーを引っ張ります。

この仕事が一番体力を使う役だそうす。新人の方が担当されるのでしょうか?場所や方向など、細かく指示されてました。

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準備が出来たら、チェーンソーで木に切り込みを入れます。

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様子を見ながらの作業です。

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倒れ始めたら、避難!そして木が倒れたら、今度は皮を剥ぐ作業が待っています。

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木の皮をはぐのは、こんな道具を使って。名前は「へら」だそうです。ただ、材質に特徴があり、鉄製、竹製、塩ビパイプのようなものから作ったものなどさまざまです。その理由は、地域によって、木の皮を利用するかどうかなどが異なるからだそうです。

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皮を剥ぐ際には、縦方向に一筋切れ目を入れて、そこにへらを刺し込み、剥いでいきます。

木の皮を屋根などに使う場合は、60cmくらいの幅で木の周りに1周切れ込みをいれ、さらにその間に縦方向にも切り込みをいれ、きれいに剥いでいくそうです。そして、その皮を伸ばして、何枚も重ねて重石を置いて平らにするそうです。そうすることで「桧皮葺」に使う皮が出来上がるそうです。手間がかかっていますね!

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一方、皮を使わない場合は、切込みを入れて、ある程度で破れたら、そこから一気に引っ張ります。すると、スルスルっと皮が剥けます。時期的なものもあるようで、ここまで簡単に剥けるのは、この時期だけだそうです。また、伐採直後という事も関係しているそうです。

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剥いたあとは、そのまま床柱に出来るのでは?というほどの美しさ!さらに、水が滴ってます!「木は生きてるんやなぁ」と実感しました。

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木の太さをビデオカメラと比べてみました。

 

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皮剥ぎはみんなでよってたかって行ないました。

ということで、私もやってみました。

1本目は、皮をキレイに1枚ものに出来ないかな?とチャレンジ、2本目は、木に傷をつけないように出来るだけ手で剥いてみました。写真は2本目ですが、皮は細切れになったものの、木はキレイです!

八木森林組合の方にも、『うまいことやるなぁ』とほめていただきましたが、、、決定的に作業時間が違います。さすがプロは違いますね。

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今回は、葉枯らしといって、枝をそのままにしておくことで、蒸散作用によって水分を抜きます。

本来、木は地中から水分を吸い上げ、葉から蒸散させています。伐採して根からの水分補給が絶たれますが、伐採されても木は生きていて、枝葉が残っていることで蒸散は続きます。枝を全部落としてしまうと、そのような作用が働かないので、筏で流せるようになるまで数ヶ月かかるところが、葉枯らしすると1ヶ月くらいで筏で流せるようになるそうです。

もちろん、現在のように筏をつくることそのものが目的でなかったわけですが、京都などで使うためには運搬の必要があったので、こういう伐採方法を用いて手早く筏にする必要があったと考えられます。こういったところにも、昔の人の知恵や工夫を感じます。

現在では乾燥機があり、石油燃料を使って1週間くらいで乾かせるようですが、当然環境にも良くありませんし、それよりも何よりも、人工的に乾燥させた材木は、建材として使っても、時間とともに割れてくることが多いそうです。

余談ですが、木に携わっている私の父の言葉によると、「近所の木を使って家を建てるのが、一番いい」との事です。

昨今、世の中全体がギスギスしてきて居心地が悪くなってきています。また、永く受け継がれてきた“人類の智恵”でも言うべきものも、ここ数十年、あるいは産業革命といわれるもの以来、急速に失われつつあるように思います。かつての材木の流通には、今以上に多くの人の知恵と力が関わっていました。しかし最近では、材木の流通ですら、大きく変わってしまい、その中で人と人、あるいは地域と地域のつながりが薄れてしまっています。今の社会のありようも、そういったことは全く無関係でなく、何らかの繋がりがあるのでは?と思います。

さまざまな人の想いが詰まった【筏復活プロジェクト】、もう一度、私たちが失いつつある“何か”を見直すキッカケになれば、との想いで今後も活動していきます。

(H)

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