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2011年2月16日 (水)

シンポジウム「川は誰のもの?」、2日目も無事終了!

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さて、シンポジウム「川は誰のもの?」、2日目ようすの紹介です。これまた、心配を吹き飛ばすくらい大勢の人にお集まりいただきました!ありがとうございます。今日の最遠方からの参加者は、東京から!京都に出張でお越しになっていたのですが、その空いた時間でかけつけてくださいました。

午前中の事例報告では、各地からお越しいただいたみなさまに、下記のような内容についてお話しをいただきました。

 「保津川のかわまちづくりについて」
      京都府南丹土木事務所 河川砂防室長 松崎敏之
 「保津川の未来に向けての活動について」
      保津川遊船企業組合船頭、エコ・グリーン対策委員会委員長 森田孝義
 「観光船と川下りについて」
      全国河川旅客船組合会長 押切太一(最上峡芭蕉ライン観光株式会社)
   「ある日の四万十川この背景にあるモノとコト」
      魚と山の空間生態研究所代表 山下慎吾
 「多摩川流域をつなぐ社会的なしくみづくりについて」
      美しい多摩川フォーラム事務局長 宮坂不二生

最初に、現在、保津川で進められている「保津川かわまちづくり計画」について、京都府南丹土木事務所の松崎さんより概要をお話しいただきました。この「か わまちづくり計画」は、今までの河川改修事業と大きく進め方を変えて、地元住民や市民団体との徹底的な対話のもとに事業を進められています。実際、いろい ろな方が集まって議論する中では、必ずしもすべてがうまく行くとは限りませんし、意見の相違もあります。しかし、徹底的な公開のもとで議論をたたかわせる ことが、遠回りでも結局は一番近道になる、そんな中で「日本一のかわまちづくり」が進みつつあるのでは、と私たちも思っています。

続いて、プロジェクト保津川の理事でもある保津川遊船の森田さんのお話。船頭さんの視線からの、川の在り方は、他の誰が語るよりも説得力があります。ゴミ のこと、景観のこと、何百年も続いてきた保津川と人との関わりとこれからの夢を、誰よりも朴訥と、しかし力強く語る姿に、誰もが引き込まれたことでしょ う。

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続いては、山形・最上川からお越しいただいた押切さん。過疎の村が生き抜くために始まった最上川下り、そこでの苦労はきっと私たちの想像を絶するものがあったと思います。誰もが無謀だ、という中で、一つずつ目標を定めて、不利を売り物に変えていく、その中での自然との向き合い方は、保津川のこれからを考えるうえでも大いに参考になるものでした。

たとえば、今でこそ最上川下りの名物になっている冬の雪見船。始めた最初の年は、お越しになったお客さんはたったの1名(!)で、「ついに気でも狂ったか」と言われたりもしたそうです。

そんな中でも、強い「想い」を持って、いろいろな川の魅力を伝えようと取り組んできたことが、人口がたった5,000人ほどの村でも、毎年20万人近いお客さんを集められるようになったのではないか、とお話しされていたのが印象的でした。

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続いては、魚と山の空間生態研究所代表の山下さん。プロジェクト保津川も助成をいただいているトヨタ財団地域社会プログラムで知り合い、今回、発表をお願いしました。実は、前日(11日)は四万十川でもシンポジウムが開催されていて、大変お忙しい中、始発便の飛行機に間に合うように、朝4時起床で文字通り飛んできてくださいました。ありがとうございます!

さて、「最後の清流」などと称される四万十川ですが、やはり河川環境は年々悪化しつつあり、そんな中、自然再生事業なども行われているそうです。里山と同じく、いったん人の手の入った川は、人が手を加え続けないとその環境が維持できない、保津川も一緒です。

生き物の絶滅危惧種だけではなく、「川漁師」なんていう職業も絶滅危惧種(職業?)ですが、なんと四万十では30代の方が「俺は漁師でやっていく」と跡を継ぐ決心をされたそうです。とはいえ、単純に昔のように漁だけで生計を立てるのは難しく、そこで体験型のツアーのプログラムも提供されているそうです。魚が獲れなかったとしても、「ホンモノ」の漁を都会の人に体験してもらう、いわば魚が売り物ではなく、漁が売り物なんですね。

ついつい、私たちは自分たちの住んでいる地域の文化を「当たり前」すぎて見落としてしまいがちですが、よその人からみた地域の魅力とは何なのか、改めて考えさせられる発表でした。

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午前中最後の発表は、美しい多摩川フォーラム事務局長の宮坂さん。宮坂さんは銀行マンという経験を活かして、山形赴任時代に「美しい山形・最上川フォーラム」の立ち上げにご尽力されました。また、現在の勤務先である青梅信用金庫に移られてからは、地域の金融機関である信用金庫の特性を活かして、「多摩川フォーラム」を設立されました。

とかく環境保全は経済と対立するものと(いまだに)思われていますが、そうではなく、地域を活性化する投資なんだ、と位置づけ、立場を越えていろいろな議論が出来る場を作ることの重要性をお話しいただきました。

今、亀岡でも「保津川・桜回廊」というプロジェクトが始まろうとしていますが、そうした事業がこれからも地域に根付いていくのかどうか、最上川や多摩川という成功事例がせっかくあるのですから、そこから学んでいければ、と思いました。

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さて、お昼ご飯は私たちのイベントではすっかりおなじみになった「亀岡行事食研究会」のみなさんによる、亀岡産の食材をふんだんに使った郷土料理です。

今回も美味しい食事をお腹いっぱいになるまで堪能させてもらいました!

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写真の右に移っているのは、寒バヤの煮つけ。以前に開催した環境教室でお世話になった保津川の川漁師さんにお願いして届けてもらったお魚です。

今、どこでの川でもみられたハヤ(オイカワ)も、全国的に生息数が減少しているそうです。アユモドキのような希少種だけじゃなく、普通の魚も減っている、それでは希少種の保全など夢のまた夢です。普通の魚を、普通に食べられる、そういう川であり続けてほしいなあ、と思いました。

ところで写真の左側に写っているのは、赤飯、ではなく黒豆寿司です。私は初めて食べたのですがこれが美味しい!大きくて柔らかく、甘い黒豆と寿司飯のハーモニーがなんともいえません。母に聞くと、昔は家を建てるときの棟上げのときなんかに振る舞われたそうです。今度、自分でも作ってみましょう!

お土産用に手作りのお味噌なんかも安く分けていただいたり、楽しいお昼ご飯でした。亀岡行事食研究会の皆さん、ありがとうございました!

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午後からは、アユモドキの保全のためにご尽力いただいている京都大学の岩田先生(写真左端)から「保津川の生物多様性とその活用について」と題して基調講演をいただきました。

保津川を含む琵琶湖淀川水系は、日本の中でも水生生物が特に多く生息する、4大ホットスポットの一つであること、またそれが人の暮らしのすぐそばにあること、といった、保津川の「価値」を改めて見直させてくれるお話しでした。

ただ、そんな中でも、オヤニラミという魚は絶滅してしまった可能性が高いことなど、ショッキングなお話ありました。改めて、この豊かな保津川を生かすも殺すも、今の私たちの責任なんだなあ、ということを、生き物の視点から教えていただいたように思います。

その後、基調講演を受けて、各地からお集まりいただいたみなさんによるパネルディスカッションが行われました。

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保津川かわまちづくりを中心になって進めていただいている、南丹土木事務所河川砂防室長の松崎さん。専門の治水はもちろん、環境のことにも造詣が深く、いろいろ難しい課題がたくさんぶつかり合う川の整備計画を熱心にまとめようとする姿に、そこに関わる多くの人々の共感を呼んでいます。

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最後にはフロアのみなさんから感想や質疑応答を述べていただきました。

今、この地域のかわづくりやまちづくりに必要なことは、独りよがりの計画ではなく、他の地域からみて亀岡ってどういう町なのか、という外の目も意識することではないでしょうか。

基調講演やパネルディスカッションの中で、岩田先生が「内の人」と「外の人」をつなぐ、「中の人」の存在が重要とお話しされていました。幸い、地域の内部には熱心な人がたくさんいます。そして今回のシンポジウムもそうですが、「外の人」も関心を持って見つめてくださっています。あとは、それをつなぐ「中の人」として私たちNPOは何が出来るのか、がこれから問われているのかもしれません。

いろんなことを学び、刺激を受けた2日間でした。連休のさなかにお集まりいただいたみなさま、遠いところをお越しいただいたパネリストのみなさま、ありがとうございました。

 

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